LCPフレキシブル銅張積層板の【接合強度】と【伝送損失の抑制】を両立

市場で多くの実績のあるLCPフレキシブル銅張積層板を、十分な引き剥がし強度と、高周波特性の維持を両立させつつ積層可能にすることを目的とし、CB技術による接合テストを行ないました。

1. 現状の課題:接着には凹凸が必要不可欠

まず、市販LCPフレキシブル銅張積層板の表面のレーザー顕微鏡写真を以下に示します。

LCPベースの市販FCCLの表面観察

このように市販LCPフレキシブル銅張積層板には銅箔面、LCP面ともに(Ra,Rz)で示すような凹凸があります。高周波の伝送損失を抑制するためには、できるだけ回路表面を平滑にして高周波信号の伝送ロスを低減させなければなりません。

接着層を用いて接合する従来技術では、低融点のLCPカバーレイフィルムないしはエポキシ系のボンディングシートなどを使用していますが、この場合にはアンカー効果が必要(表面が適度に荒れていないと接合強度が得られない)であり、回路表面の凹凸が必要不可欠となっています。

接着剤による接合イメージ(粗面化された表面をアンカー効果で接合)

 

さらには、より小型化、高機能化が進むスマートフォン等に用いられるLCPソフトボードの柔軟性、屈曲性を得るために接着(接合)強度を接着層で確保するには、回路表面をさらに粗面化する必要があり、伝送損失をさらに犠牲にせざるを得ないという問題があります。

すなわち5G,6G向けの基板積層技術として高周波特性と屈曲性/柔軟性の両立が大きな課題であり、具体的には、接着層による技術的限界を克服し、アンカー効果を必要としない、すなわち表面の凹凸を必要とせずにLCPフレキシブル銅張積層の接合強度を高めることが重要な課題であると考えます。

2. CB技術による接合メリット

CB技術では化学的に接合するため、回路表面を粗面化する必要がありませんので、LCPフレキシブル銅張積層板の【接合強度】と【伝送損失の抑制】の両立が可能となります。
CB技術は、材料の表面が平滑であるほど接合強度が向上します。応用例として、平滑性が高いガラス同士の接合でも実績があります。

CB技術による片面銅張積層板の多層化イメージ
(表面を荒らさず、化学的に接合)

 またCB技術は接着層を必要としないので、既存技術で20μm程度必要だった接着層の厚みを無くすことができ、積層板の薄層化にも貢献いたします。

CB技術では接着層が不要に

3.CB技術による接合テスト結果

本実験では、このようなCB技術の特性を活かすため、銅箔表面の凹凸をできるだけなくすことを目的として酸洗浄を行ない、その上で、銅箔面(酸洗浄あり)とLCP面の接合を行ないました。

接合強度データ

上記の条件による接合の結果として、引き剥がし強度 0.7 (N/mm) を得ることができました。

今回は、市場で多くの実績のあるLCPフレキシブル銅張積層板を用いて実験していますが、より平滑な銅箔とLCPを用いることで、さらに優れた接合強度を得ることも期待できます。貴社のご要望に応じた材料でのテストを行いますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

4.高周波伝送特性


5.耐折性試験結果

 

■試験片

折曲部位拡大
 

 

 

 

 

 

6. LCPによる高周波対応

LCP(Liquid Crystal Polymer)は溶融時に液晶性を示す熱可塑性樹脂の総称で、耐吸湿性、耐薬品性、耐候性、耐熱性、難燃性、低誘電率、低誘電損失係数の特性を持ち、電子機器を始め広い分野で使用されています。LCPの特性として、マイクロ波/ミリ波周波数帯での誘電率が低く、伝送損失が少なく、また熱安定性や機械的強度が高いため、とりわけ5G,6Gなど高周波での使用に適しています。

このため、スマートフォンの小型化は、LCP素材に新たな機会をもたらしています。小型化にはソフトボードの柔軟性が鍵であり、LCPソフトボードは優れた柔軟性と高周波および高速性能を備えており、スペース効率を高めることに貢献します。

実際に2021年リリースの「iPhone 13」と「iPhone 13 mini」には「ソフトボードバッテリー」が採用されるとの情報があります。「ソフトボードバッテリー」により、柔軟な回路基板を使用することが可能になり、従来よりも大容量のバッテリーを搭載することが可能になると考えられます。

なお「ソフトボード」自体はiPhone 8以降のiPhoneでも採用されているようですが、現時点では一部のLTEアンテナにのみ採用されているとのことで、今後は、この柔軟性のある基板の採用は、端末のバッテリー回路にまで拡大していくことになります。
しかしながら、LCPソフトボードの柔軟性、屈曲性を得るためには、LCPフレキシブル銅張積層板を積層させる際の接着(接合)強度を高める必要があり、そのためにCB技術が貢献できる可能性があります。

iPhoneアンテナ


貴社の基材をお預かりし、最適な処理条件を設計してサンプル(テストピース)を制作させて頂きますので、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ